原典に見られる特定の符号・注記

原典に見られる特定の符号・注記

省略符号

熟語の掲出字に見える省略符号(omission mark)「|」は、 被注字(annotated headword, 被釋字)或いは前掲する掲出字を代用する時に使用される符号で、 「ー」(長音符, U+30FC)を用いて入力し、その後の「()」(全角括弧)内に該当字を入力する。

例:

  • 五/ー(人)

踊り字

複字形式の掲出字に使われる踊り字(repetition mark, 疊字符)は 「〻」(二の字点, U+303B)を用いることとし、「々」(同の字点, U+3005)を用いない。

例:

  • 曽/ー(祖)/〻(母)

本文訂正の符号

転倒符(reverse mark, 顛倒符)を施して複字形式の掲出字の順序を正したり、見消符(deletion mark, 抹消符)を施して正しい掲出字を傍書(side note, 旁記)したり、補入符(interpolation mark, 補入符)を用いて掲出項目の順序を正したりすることがある。これらは正しい内容に修正して本文を入力する。

次の入力例では、注ごとに詳しい説明を施している。 項目データでは、どの箇所を訂正したのか、分かりにくいので、 注文の種類ごとに分割したデータ(krm_notes.json)に記載している。

例:

  • 儻/儻 コヒネカハクハ 西端誤写諸例54頁③文字のいれかわり818。高山寺本「コネヒカハクハ」の「ヒ」の右肩に転倒符あり、文字のいれかわりの誤りは解消済み(草川昇「類聚名義抄和訓小考」29頁)。

掲出字に施された声点等の注記

掲出字に施された声点・仮名字音、傍訓、漢文注記、異本注記は、「掲出字補注」とし、それぞれ◎、⦿、◇、▲を付して注文冒頭に示す。

例:

  • 版/ー(位) ◎版「ヘム」 (掲出字に施された声点・仮名字音)
  • 虱 ⦿虱「キサヽ」 (傍訓、この例のみ)
  • 朿 ◇朿「来歟」 (漢文注記、転写者による注記)
  • 抒 ▲抒「予β予γ」 (異本注記、相違点を再現するのは困難なのでβ方式で示した)