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注釈データ入力の詳細

注釈作成の基本方針 #

名義抄の注釈には、 校勘、出典考証、研究史整理、語釈、余説などが含まれる。それぞれの内容を解説すれば、次のとおりである。

  • 校勘:諸本本文・逸文との校異を示し比較考証し、伝写上の誤りを正して本来の本文を再構成する。
  • 出典考証:引用原典を探索してその引用法の分析し、直接引用・間接引用(孫引き)の別も明らかにする。
  • 研究史整理:諸先学による見解を要約紹介する。
  • 語釈:語義、音韻、表記に関する語学的分析を行う。
  • 余説:注釈者の考察である。当該の項目の分析から判明した事項を詳細に述べる。

注釈は、簡潔明瞭であることが理想であるが、その前段階として、注釈に必要な材料を可能な限り集めることが 必要であり、その準備が整った後に、収集した材料を取捨選択する作業に入ることができる。

現在までに収集した材料は、データベース作成者による注釈(Compiler's Remarks)として krm_notesremarksカラムに記載している。

ここでは、まず項目を掲出字と注文各種に分類し、それらの数量を示す。 その上で、掲出字の種類と注文の種類毎に注釈の作成の重要度を検討し、分析対象を和訓と 音注に絞ることを述べて、注釈作成の基本方針と分析対象を明確にする。

次に、誤字、脱字、衍字などの具体例をあげて解説し、それらの情報を データベース作成者による注釈(Compiler's Remarks)にどのように記載したかを 紹介し、掲出字数の算出を行う。

字体注は、その種類と記載形式を整理して、字体注の内容・形式を明確化することで、 データベース作成者による注釈(Compiler's Remarks)での言及を最小限にする。

義注は、その種類と数量を示し、片仮名と誤認された義注の例を紹介する。

和訓は、先行研究が数多いので、その一覧とデータベース作成者による注釈(Compiler's Remarks)で用いる 略称を整理し、和訓注釈のための基礎資料を紹介する。

最後に、観智院本類聚名義抄の仏上62頁を注釈記述の具体例として、 データベース作成者による注釈(Compiler's Remarks)の内容を紹介する。 そこでは、GlyphWikiの利用により、漢字字形の微妙な差を注釈で説明できることを示す。