KRMの入力方法
January 6, 2022
注文データ入力の詳細 #
次の6種に分類して入力方法の詳細を説明する。
共通 #
字体注、音注、義注、和訓、掲出字補注に共通する事項は次のとおりである。
書字方向 #
説明 縦書きを横書きに改める。
字体 #
説明 漢字と仮名は原則として現行の字体に改める。
略字 #
説明 略字(abbreviated character, 簡略字)は通行の字体に改める。
入力例
亠→音
﹅→也
乂→反
彳→従
禾→和
谷→俗
牜→物
欤→歟
类→類
漢字の踊り字 #
説明 漢字の踊り字は二の字点(〻, U+303B)を用いる。
同一字符号 #
説明 掲出字と同一字であることを示す符号「|」 は「ー」(長音符, U+30FC)を用いて入力するにとどめて、該当字を示すことはしない。
改行・空白 #
説明 改行は省略する。空白は原文通りではなく判読の結果を示す。
誤字 #
説明 誤字のうち一見して明らか場合は( )内に正しい文字を入れて示し、説明が必要な場合には備考欄に記載する。()は半角の丸括弧を用いる。
脱字 #
説明 脱字のうち一見して明らか場合は[ ]内に正しい文字を入れて示し、説明が必要な場合には備考欄に記載する。[]は半角の角括弧を用いる。
衍字 #
説明 衍字は、備考欄に記載する。
本文訂正の符号 #
説明 転倒符、見消符、補入符を用いた注文の修正がある場合は、その指示に従って修正した本文を示す。修正内容が分かりにくい場合は、備考欄に注記する。
判読注 #
説明 判読注(decipherment note, 解讀注記)を( )に入れて示すことがある。
朱墨区別 #
説明 朱墨の違いは現状では区別して入力していないが、特に注意を要する箇所に(朱)と付したところがある。
合点 #
説明 合点(check mark, 合點)は該当箇所の前に半角のアステリスク(*, U+002A)を付して表す。
出典表記 #
説明 出典(source)を示す書名・人名は二重山括弧(《》, U+300A及びU+300B)で括って示す。
無注記 #
説明 注文が存しない場合は、(無)で表す。
割注 #
説明 割注双行(small character definition in two lines, 雙行夾注)が基本なので右から左の順に記載する。3行となる場合は、追加部分と判断される部分を後に記載する。
補入注文 #
説明 補入注文(supplementary definition, 補入注文)は適切と判断した位置に記載する。
小字注記 #
説明
小字でなされる漢字注記は傍書・再割注(smaller character definition in two lines, 再夾注)の違いを問わず該当箇所を全角の山括弧(〈〉, U+3008及びU+3009)に囲んで記載する。
異本注記 #
説明 注文に対する異本注記(annotation according to a different manuscript)は半角の丸括弧((),U+28及びU+29)に囲んで、注文の字句(対象字-異本注記)の順に示す。
字体注 #
字体の認定 #
説明 字体注原文の異体字は掲出字の字体との関係を慎重に検討した上で原文に近い字体とするか通行の字体とするかを判断する。
字体注記 #
説明 「正」「俗」等の字体注記(字級)は通行の字体に改める。
入力例
谷→俗
Unicodeにない字 #
説明 該当する文字がUnicodeに入っていない場合はIDSで表す。
入力例
⿰屑刂/削/⿰⿱小肉刂
小字字体注記 #
説明 小字字体注記は全角の山括弧〈〉に入れる。
入力例
又鞘〈正〉
音注 #
音注の種類 #
説明 音注は、反切(fanqie)、類音注(similar pronunciation annotation by character)、仮名音注(pronunciation annotation by kana)の三種がある。
異体字の処理 #
説明 原文の略字と異体字は通行の字体に改める。
入力例
メ→反、亠→音
声点 #
声点(tone mark)は平(L)、上(H)、去(R)、入(S)、平軽(F)、入軽(T)のようにカッコ内の略称で示す。軽声の認定は暫定的である。
複数の声点 #
説明 複数の声点がある場合は平→平軽→上→去→入軽→入の順に表し、その間にハイフンマイナス(-, U+002D)で区切って表す。
鼻音符号 #
説明 鼻音符号(nasal mark, 鼻音符)は(N)で示す。
類音注 #
説明漢字と仮名を交えた類音注(土ウ・茶ク・火ンなど)に声点・鼻音符号が施されている場合は、1単位にまとめて表す。
小字仮名 #
説明 漢字に付された小字の片仮名(音注)はそのまま「」の中に入力する。二つ以上ある場合は種類ごとに「」を分けて表す。漢字の右側、左側の順に記載する。漢字の右側または左側に複数の小字片仮名(音注)がある場合は上下の順に記載する。
掲出字中の反切 #
説明 複字形式(熟語)の掲出字の途中に反切が挿入される場合は、/(半角スラッシュ)を用いて区切りを示す。
入力例
人充 / ノナツメ
義注(漢文意味注) #
異体字の処理 #
説明 原文の略字と異体字は通行の字体に改める。
入力例
ヽ→也
省略符号 #
説明 省略符号の「|」符は、長音符(ー, U+30FC)で示す。該当字の()内注記は省略する。
合符 #
説明 合符(compound mark, 連字符)はハイフンマイナス(-, U+002D)で表す。
漢字に付された和訓 #
説明 漢字に付された小字の片仮名(和訓)はそのまま「」の中に入力する。二つ以上ある場合は種類ごとに「」を分けて表すこととし、記載の順序は漢字に付された小字の片仮名(音注)の場合と同じとする。
和訓 #
小字の片仮名 #
説明 片仮名に付された小字の片仮名(和訓の活用形・及び異形態など)は大字の部分と小字の部分をハイフンマイナス(-, U+002D)で区切って示す。
入力例
オホイナリ(LL@@@、イ-キ)
字体 #
説明 異体および略字は本来の字体に改める。
入力例
爪→ス、牜→物
異体の仮名の区別 #
説明 異体の仮名の区別を小字で右に示す場合は、「異体」をカッコ内に注記する。
入力例
タスク(ス-ス異体)
片仮名の踊り字 #
説明 片仮名の踊り字は片仮名繰り返し符号(ヽ, U+30FD)で表し、くの字点(〳〵, U+3033及びU+3035)は反復する文字の個数分を片仮名繰り返し符号で表す。
声点 #
説明 和訓注の声点(accent mark)は漢字音注と同様の方法で表す。ただし、一字ごとに声点を付す漢字音注とは異なり、和訓は分かち書き若しくは改行で区切られている一つのまとまり(形態素、語および句)を一単位としてまとめて表す。
声点の部分加点 #
説明 声点が和訓の一部分のみに施されている場合は、声点が施されていない箇所を半角のアットマーク(@, U+0040)で表す。漢字は一字ずつ、和訓は合わせて表示する。
入力例
ソナヘ物(LL@@)
声点と小字片仮名の混在 #
説明声点と小字の片仮名が混在する場合は、カッコ内の声点の表示の後に読点(、)で区切り小字の片仮名を示す。
漢文意味注の和訓 #
説明 漢文意味注の漢字に付された小字の片仮名(和訓)はそのまま「」の中に入力する。二つ以上ある場合は種類ごとに「」を分けて表すこととし、記載の順序は漢字に付された小字の片仮名(音注)の場合と同じとする。
入力例
トヽマル(LL"HL、マ-ム)
掲出字補注 #
掲出字の声点と片仮名音注 #
説明 掲出字に施され音読みを示す声点と片仮名は注文(KR_def)の最初に二重丸(◎,U+25CE)と被注字を付してその直後に記載する。声点は( )の中に略称で示し、片仮名は「 」を付す。
掲出字の傍訓と返点 #
説明 掲出字に施され訓読を示す傍訓と返点は丸中黒(⦿, U+29BF)と被注字を、掲出字に施された漢文注記(反切、意義注、字体注、出典注記)はひし形(◇, U+25CF)と被注字を、掲出字に施された異本注記は黒三角(▲, U+25B2)と被注字を付してその直後に「」に入れて記載する。
注文末尾の異本注記 #
説明 注文の末尾に追記された掲出字に対する異本注記は、注文末尾に▲を付し、その内容を「」に入れて示す。
記載の順序 #
説明 掲出字補注四種を併記する必要がある場合には、◎音読み、⦿訓読み、◇漢文注、▲異本注記の順に記載する。
入力例
◎佰(S")「ハク